学費・教育費/小学校でかかるお金

7人に1人が利用している小中学校の就学援助制度とは?

経済的に厳しい小中学生のいる家庭に対し、自治体が学用品その他の費用をサポートしています。この就学援助制度の利用者も増加していましたが、平成24年以降はやや低下が見られます。

豊田 眞弓

執筆者:豊田 眞弓

教育費 ・ 奨学金ガイド

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親の経済力に関わらず、子どもたちはしっかり義務教育を受けることが大事です。経済的に厳しいご家庭に対して、自治体が学用品その他の費用を援助する「就学援助制度」の利用が平成7年以来上昇してきたものの、平成24年をピークにやや低下の傾向が見られます。
就学援助

親の経済力に関わらず教育を受けるための仕組みです

 

小中学校の就学援助制度とは?

就学援助制度とは、小中学校で必要な学用品や給食などにかかる費用を、市町村がサポートする仕組みです。学校教材費、校外活動費、修学旅行費、入学準備補助金、学校給食費など、教育を受けさせるのに必要な費用が支給されます。

制度の裏付けとなっているのは学校教育法で、「経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」(同法第25条、第40条)とされています。

新学期が始まってすぐ、小学校や中学校で申請書が配布され、該当者のみ手続きをする形になっています。

 

就学援助制度の対象者は?

就学援助制度の対象となるのは、生活保護世帯や住民税非課税世帯、児童扶養手当受給者ほか、経済的な理由により児童生徒を就学させることが困難な家庭と自治体が判断した世帯です。

保護者が住民税や国民健康保険料を免除されている人や、所得が一定水準以下の人です。

<就学援助の対象者>
・要保護者(生活保護法第6条第2項で規定)
・準要保護者(市区町村教育委員会が要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者)


つまり、生活保護の対象者か、それに準ずる程度に困っている人、ということになります。

この就学援助制度のうち、国は要保護者世帯に対する費用について補助を行っていますが、平成17年度に税源移譲が行われて以降、準要保護者世帯に対する援助は自治体に任されています。そのため、自治体で基準や内容が微妙に異なっています。

 

就学援助の対象品目

就学援助として受けられる対象品目のうち、要保護者に対するものは下の通りです。準要保護者については、自治体によって異なります。

<補助対象品目>*要保護者の場合
•学用品費
•体育実技用具費
•新入学児童生徒学用品費等
•通学用品費
•通学費
•修学旅行費
•校外活動費
•クラブ活動費
•生徒会費
PTA会費
•医療費
•学校給食費


 

小中学生の約7人に1人が就学援助

文部科学省によると、平成28年度は、小中学生のうち就学援助制度の利用者数は143万人(うち準要保護者数は130万人)で、5年連続減少しました。これは、少子化で子どもの人数が減っていることの影響と経済状況の変化が出たものと見られています。

利用者率で見ると、平成24年度は過去最高の15.6%をマークしましたが、その後微減し平成28年度は15.04%となっています。いずれにしても、小中学生の約7人に1人が就学援助を受けている状況です。

都道府県では、高いのが高知県25.63%と福岡県23.09%で、反対に低いのが富山県6.76%と栃木県7.15%(平成28年度)。

 

財政難で内容や対象が絞られる

こうした制度の必要性が高まる一方で、財政難から予算を削る自治体もあるようです。前述のように、税源移譲により、国は生活保護の対象者に対する費用の補助は行うものの、準要保護者に対する費用は自治体が独自でまかなわなければなりません。

対象者が増える中、財源の厳しさから、基準の厳格化や、対象者の絞り込みなどを行う自治体もあります。
あなたの住んでいる自治体はどうですか? 実際の内容については、住んでいる自治体のホームページなどで確認しましょう。

【参照】
児童手当、そこが知りたい!
負けるなひとり親!母子家庭の母の年収220万円
待ったなし!子どもの貧困対策
 
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