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テレビの前に座ってもらうことの難しさ(2ページ目)

ゲームはテレビでするものでしょうか? 一昔前なら、そうだと言い切れたでしょう。でも、今は携帯ゲームハードがあります。そして逆に、テレビの前に座ってゲームをしてもらうことが、とても難しくなってきました。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

テレビをゲームで占領するということ

同居人の視線が気になるの図
なかなかゲームで40時間も、50時間もリビングを占領できない、という人もきっといるはず。
50時間という長時間、テレビの前に座ってもらうのは並大抵のことではありません。しかし、据え置きハードで長時間プレイするということは、それだけではないんです。もう1つ、大変に高いハードルとして、その時間だけテレビを占領するということを忘れてはいけません。テレビを占領するということは、プレイヤー以外の、一緒に住む人の了解がいるということです。

しかも、ゲームの場合は、テレビ番組や映画と違って、普段からゲームをしない人にとってはワケが分からないものであったりします。同じシーンが何度も繰り替えされたり、必殺技をひたすら叫んでいたりするかもしれません。そういうもので、長時間リビングとテレビを占領するというのは、なかなか理解を得られない場合もあるでしょう。明確に駄目だと言われなくても、ユーザー自身が、はばかる、ということはあるはずです。

全くそれが問題のないユーザーもいます。1人暮らしの人や、自分の部屋にテレビがある人、家族がいない時間にプレイする時間を確保できる人。しかし、そういう人だけを想定していると、ユーザーの幅はどうしても広がりません。

テレビの前にいかなくてもゲームはできる

ドラクエをするももんじゃの図
ドラクエ9のすれ違い通信をすると、50時間どころか、もっと長い時間遊んでいる人もたくさんいますね。
今まで、ゲーム業界では据え置きゲームハードが主流でしたから、長いプレイ時間を使ってじっくり遊べるゲームがたくさん登場していました。しかし、それはコンテンツのパワーで大変に高いハードルを乗り越えて実現していたんです。テレビを占領して、何十時間もの時間を費やしても、他には無い面白さが、価値があると認識されていたんですね。良く考えるとすごいことです。

ところが、現在では携帯ゲームハードの市場が拡大しています。幅広い年齢層のユーザーを獲得したニンテンドーDS(以下DS)と、携帯ハードでありながら高いスペックを実現したPSPの隆盛は、据え置きハードにとって脅威です。

据え置きハードで、RPGという分野を確立してきたドラゴンクエストシリーズの本編最新作であるドラゴンクエスト9 星空の守り人(以下ドラクエ9)がDSで発売されたことが象徴的ですが、据え置きハードの市場を携帯ハードが完全に食っている状態です。携帯機でたっぷりとドラクエ9を遊んだユーザーの中で、据え置きハードでも腰をすえてRPGを遊ぼうと思う人が、いまどれ程いるでしょうか。

かつては携帯ゲームハードでゲームを売るには携帯ハードでやる理由をしっかりと考えなければいけませんでした。しかし、今はそれが逆です。据え置きハードが売れる為には、わざわざテレビでゲームを遊ぶ理由が必要になってしまいました。
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