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公的年金の絶頂期は昭和55年だった!?

公的年金の給付水準は悪くなる一方ですが、何時を境に悪くなったのでしょうか?厚生労働省が公表しているモデル年金の推移を見ていると、昭和55年がピークだったことがわかります。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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公的年金って何時から給付の引き下げが始まったの?

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年金法改正時には、様々な制度が変更となる。給付の改悪だけが行われているのではないことに注意
先日ある方から、「公的年金って、どんどん改悪されているみたいですけど、一体何時から給付の引き下げが始まったのですか?」と質問されました。

確かに、公的年金制度は5年ごとに大きな改正があり、最近は改正の都度制度が改悪されているわけですが、制度創設時からずっと改悪されているわけではありません。何時からか改悪(給付水準の引き下げ)がはじまったんでしょう。

さて、以前、「モデル年金」について記事を書かせていただいたことがあります。「モデル年金」とは「標準的な世帯で受け取れる年金額」のことです。

現在は、夫が40年間会社員(厚生年金加入)で、入社から定年までの月給が36万円。妻が20歳から60歳までずっと専業主婦だったという夫婦を「モデル世帯」として年金額を示していて、厚生労働省の試算では夫婦で合計月23万3千円となっています。これが「現在のモデル年金」です。

また、現役世代の平均手取り賃金に対する年金額の割合を「所得代替率」と言い、給付水準設定の基準としています。現在は、現役世代の平均手取り賃金が39万円ほどらしく、所得代替率は約6割となります。要は現在、現役世代の収入の60%の年金を支給しているということになるわけです。

この「モデル年金」と「所得代替率」の推移を確認すれば、公的年金の給付水準は何時から引き下げられたのかがわかりますね。

「モデル年金」と「所得代替率」の推移を確認

厚生労働省が「モデル年金」と「所得代替率」の推移のデータを出しています。これを見てみましょう。
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出典:給付水準の推移(厚生労働省) 尚、平成12年のデータは、手取り報酬額での数字で、平成6年までと同じ計算方法で算出すると所得代替率は約65%となる。

これを見ると、昭和40年代に給付水準の改善が行われたことがわかります。昭和48年に行われた改正は、「平均賃金の60%の実現」が大きなテーマでした。

次ページでいつから引き下げられたのか。またこのデータの問題点等を考えます
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