デスクトップパソコン

ガイド:大島 克彦

デスクトップパソコンの選び方、楽しみ方を解説。初心者の人から上級者までどうぞ。

 

掲載日: 2003年 05月 20日

水冷パソコンって、あるの?

文章:中村 伸(All About「デスクトップパソコン」旧ガイド)


水冷PCVALUESTAR、外観は両モデルとも共通


水冷?空冷?車の話ではないのです!

 故本田宗一郎氏が、4輪乗用車を手がけるとき、空冷にするか水冷にするか、開発と一悶着あったという話は、車の好きな方なら皆さんご存知のことでしょう。車のエンジンをどのように冷やすか、という問題ですね。オートバイならエンジンむき出しという設計が可能ですから、走行時の空気の流れを使って冷やすことも可能です。ところが今回の話は、車でもオートバイでもない、パソコンの話題なのです。

パソコンを水で冷やす?

 ことパソコンに関しては、電機部品を多数使っている関係で、また、元々屋外で使う想定になっていませんので、水冷などというのはもってのほか、せいぜいヒートパイプという、特殊な冷却装置を併用して冷やすのがオチです。確かに以前から、パソコンのCPUを水冷、というか、液体を使って冷やす装置自体は、秋葉原などの「濃い」パソコンエリアでは売られていました。でも驚いたことに、この水冷PCを開発、出荷してきたのは、一時期日本のPC業界を牛耳ったNECなのです。

水冷は空冷より優れているの?

 ここで勘違いをしないで頂きたいのですが、水冷システムが空冷システムより、すべての面で優れている訳ではないということです。いや、確かに、「冷やす」能力は空冷より水冷の方が容易にあげることが出来ます。空冷では周りの気温以下にすることは困難ですが、水冷の場合、冷やす対象物とは離れた位置で液体を冷やすことが出来れば、対象物の周りの気温に左右されないで冷却出来ます。

 じゃあ、どこが駄目なのでしょうか。ずばり、部品の点数が増えるとこと、水を利用する場合(水を何かと混ぜても同じ)、使用する部品が錆びるものなら錆び対策、錆びなければ経年変化が生じ、また暑いときはまだしも、冬の北海道などでは液体が凍ってしまわないか、というさまざまな心配があります。万一凍ってしまった場合、水を循環させる装置が破裂したりして水漏れを起こします。衝撃などに一番弱いCPUを冷やす液体ですから、CPUが水につかれば恐らくショートしてパソコンが壊れ、あるいは発火しないとも言えません。つまり、素人工事(?)では水漏れを起こすか、凍らせて壊してしまうか、などの懸念があり、一朝一夕には水冷システムを実現出来ない訳です。

 NECはその点、大メーカですから、目的さえあればいつでも実行出来る可能性はあります。そして、この夏モデルに2種類の提案をしてきました。それがVALUESTAR TXと、VALUESTAR FZの2機種です。前者はホームAVサーバPCとして、後者は超静音ハイパワーPCとして作られています。

ホームAVサーバってなに?

 あまりPCが詳しくない方には、AVサーバって何してくれるの?という感じではないでしょうか。簡単に言うと、映像はMPEGで、音楽はMP3やATRACといったコンテンツを圧縮してPCで管理する、また家庭内ネットワークを介して、他のPCでもこれらの映像や音を再生することが出来るようにするサーバ機能を持たせた機器、と言うことになります。サーバですからずっと電源を入れておかなければ意味がありません。そこで、常時電源を入れておいてもうるさくないものが欲しくなります。

 自作PC界では少し前からブームとなっておりましたが、静音PCがトレンドで、どこまでの高性能をどうやって静かに運用するか、という競争になっているほどです。NECがまんまとこれらの静音PCを出し抜くことが出来たのは、1にも2にも大メーカ故の、「1から設計出来る」ということです。要は「水(液体を介して)で冷やす」ということは非常に高い技術力と実装力が必要だからです。


ホームAVサーバ向けのVALUESTAR TX

掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。