節税対策/節税対策関連情報

妻を役員にすれば節税効果大

日本の所得税率は、超過累進税率となっています。そのため、社長1人で収入を得るより、妻に所得を分散するほうが、所得税・住民税・相続税などが節税となり、結果として手取額が増えることがあります。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

所得分散による節税効果

妻を役員にする効果

妻を役員にする効果

会社経営、特に中小企業に多い同族会社において、家族が従業員として働いている場合があります。

こういったときには、その家族に労働の対価として妥当な金額の給与を支払うことができます。さらに、その家族に経営の一部の仕事もしてもらいます。つまり、役員になってもらって、より多くの給料を払った方が、税制上は得なことが多いのです。

その1つ目の節税効果は、所得分散による節税効果です。

例えば、社長1人で1,500万円の収入を得た場合と社長900万円・妻600万円の収入を得た場合を考えてみましょう。

社長1人で年収1,500万円(所得控除は便宜上200万円と仮定)を計上すると、所得税と住民税を合わせて約300万円発生します。
一方、社長年収900万円・妻年収600万円(所得控除が便宜上各100万円と仮定)を計上すると、社長に約135万円と妻に約45万円、合わせて約180万円税金が発生します。

その差はなんと、約120万円にものぼります。これは、給与所得控除と税率差額を原因とし、所得を分散したことにより、大きな節税効果が得られた例です。

妻に退職金

2つ目の節税効果は、社長の退職時同様、妻の退職時にも退職金を受け取れることです。

従業員のままでも退職金を受け取ることができますが、役員の方が、法人税法上において損金が認められる退職金額が多くなる傾向にあります。

役員退職金の支給金額の目安は、「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」とされています。

例えば、最終報酬月額50万円、勤続年数30年、功績倍率2.0倍であれば、
50万円×30年×2.0倍=3,000万円まで相当な退職金として、税法上損金計上できることがあります。

さらに、退職金というのは、給与収入などよりも税制上特典があります。

それは、「退職所得控除」があること、「退職所得控除後に1/2課税」されること、「分離課税」となり他の所得と分離して課税されることです。

このように多くの特典がある退職金を妻により多く支給することができるのです。

不動産を共有名義

さらには、これらの妻の収入を活用して、自宅不動産を共有名義にすることが、3つ目の節税効果です。

妻に収入がなければ、不動産を共有名義にした場合、社長から妻への贈与と認定され、多額の贈与税が発生する可能性があります。しかし、妻に収入があれば、その収入割合に応じて共有の持分登記をすることができます。

不動産を共有名義にしておけば、将来この不動産を売却するときがきても、2人とも居住用不動産の特例が使えます。

居住用不動産の特例とは、3,000万円の特別控除(3,000万円までは税金がかからない)や軽減税率などです。

このように社長1人で収入を得るよりも、妻や家族に収入を分散することにより、多くの節税効果が期待できます。

デメリットも・・・

しかし、これにはいくつかのデメリットもあります。最後にそれについて説明します。

まずは、妻や家族に給料を払うことになれば、通常その分社会保険料も払わなければいけなくなります。ご存じのとおり、社会保険料は毎年上がっており、その負担を考慮に入れて実行するかどうか判断しなければなりません。

次に、実際に妻や家族に給料や退職金が収入として入りますので、モラールの問題です。節税より家族仲良くいられることのほうが、優先順位が高いはずです。優先順位を間違えないようにしたいものです。

さらには、一番懸念されるのが他の従業員のモラール低下です。これは会社の状態により異なりますので、ここでは明言は避けますが、このような問題が起こる可能性は知っておくべきです。

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