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「霞が関の埋蔵金」は裏会計か?

2009年度予算案の審議が始まり、一般会計予算のみならず、「霞が関の埋蔵金」にも注目が集まっています。、「霞が関の埋蔵金」とは、そもそも何なのでしょうか。

執筆者:石原 敬子

文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
国会では2009年度予算案の審議に入っています。通常、国家予算といえば一般会計を指すことが多いのですが、この近年は、「霞が関の埋蔵金」も注目されるようになりました。この「霞が関の埋蔵金」とは、どのようなものなのでしょうか。

<INDEX>
今ではもう埋蔵金と呼べない、「霞が関の埋蔵金」(1P目)
一般会計、特別会計とは(1P目)
「霞が関の埋蔵金」は裏会計か?(2P目)
塩ジイの「すき焼き発言」で知れ渡った、埋蔵金の存在(2P目)
掘り当てた埋蔵金の使い道(3P目)

今ではもう埋蔵金と呼べない、「霞が関の埋蔵金」

落ちていくお金
「霞が関の埋蔵金」は、もはや埋蔵金とは呼べない?
国語辞典で「埋蔵」の意味を調べると、「地中にうまっていること。うずめかくすこと」とあります。江戸幕府が密かに地中に埋めたとされる金塊もしくは金貨を「徳川埋蔵金」と言いますが、「霞が関の埋蔵金」はこれを倣って呼ばれるようになったのでしょう。

「霞が関の埋蔵金」と呼ばれるのは、各省庁が管理している国の予算、「特別会計」のうちの余剰金や積立金のことです。

以前、特別会計のバランスシート(貸借対照表)は国民に公表されていませんでした。2007年に、元財務官僚だった高橋洋一氏が特別会計のバランスシート(貸借対照表)を公表したことで、「霞が関の埋蔵金」は発掘されたのです。

なので、実は、今では「霞が関の埋蔵金」は「埋蔵金」とは言えなくなっています。

発掘されたとはいえ、それまでうずめかくされていた埋蔵金です。いったいどのぐらいの額が埋蔵されているのか、客観的な数字は定かではありません。確実に掘り出せる額は15兆円とも言われていますが、高橋洋一氏の著書によれば、町村派の清和政策研究会では50兆円の埋蔵金があると明言したそうです。

何かと話題に上る「霞が関の埋蔵金」。国家予算についておさらいすると共に、かつて埋蔵金と呼ばれていたお金について、理解しておきましょう。

一般会計、特別会計とは

国の予算には、一般会計と特別会計があります。

一般会計とは、国の基本政策に使われるお金のことです。通常、毎年の予算として年度の始まる直前に国会で決められます。一般会計のうちの主な収入は、国民の税金収入と国債発行によって集められたお金です。このお金が国の事業のために振り分けられ、外交や社会資本の整備、社会保障、警察、教育などに使われます。

この収入源はどこからか、そしていくら入ってくる見込みで、使い途は何にいくらにするのかを決めるのが、毎年の予算審議です。今まさに、国会で2009年度の予算案を審議しているところです。

一方、特別会計とは、各省庁が行う特定の事業に使われるお金のことです。資金の運用はそれぞれの省庁で個別に管理しているため、運用されたり無駄な使い方をされているのでは、との指摘もあります。各省庁に任されているのは、財務省も国会も、一般会計予算だけでキャパシティオーバーになってしまい、特別会計まで管轄するほどの余裕がないといった理由のようです。

しかし、特別会計の予算規模は、重複分を除くと一般会計の倍ほどの金額です。厳密に言えば、そのうち半分は国債の償還に充てられているため、実質、一般会計と同じ金額程度なのですが、いずれにしろ、国民にとっては無視できない規模なのです。

具体的には、財政融資資金、厚生保険、外国為替、国債整理基金、労働保険、国民年金、産業投資、道路整備、国有林野事業などの特別会計が存在します。名称を聞けば、身近なお金で国民生活に欠かせない会計だということがわかるでしょう。

国民の身近なお金だというのに、「裏会計」などと悪く言われることのある
特別会計。埋蔵金は、裏会計なのでしょうか。次のページで見てみましょう。
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