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老後部門

  • 遺骨は海へ、大地へ、空へ

    墓を持たない決断

    墓を持たない決断
    埼玉県日高市 開栄寺の樹木墓

    管理の手間や継承者の不在で墓以外の選択に関心が集まる

    葬儀全般を手がけるフューネットコーポレーションが今年7月、全国の20歳以上の1,000名(男女各500名)を対象に行った「自身の葬儀・お墓問題に関しての意識調査」によると、自身の葬儀・お墓問題に不安があると答えた人は35.7%。不安な点のトップは「費用」(64.7%)」だが、「管理・手入れ」(40.6%)、「継承者がいない」(29.7%)といった理由だった。

    継承者がいる場合でも、墓の場所が遠い、仕事でお墓参りの時間がとれないなどの理由で、墓参りをしないケースは増えている。厚生労働省の衛生行政報告例によれば、2014年度の改葬の件数は8万3,574件で、10年前に比べ22%増加した。こうしたなか人気を集めているのが、「樹木葬」「海洋散骨」「宇宙葬」「納骨堂」など、墓を建てる以外の埋葬・供養サービスだ。

    様々なサービスが登場し、生前のライフスタイルで選べる時代に

    「樹木葬」は、費用も安く、一定期間が経過したら永代供養となるため継承者問題も解決できるとして人気が上昇している。永代供養墓普及会を運営する日本クレーベストによれば、樹木葬に関する直近の相談件数は前年比150%に伸びているという。

    昨年の夏、日本海洋散骨協会が20代以上を対象に実施した「海洋散骨」に関する調査(有効回答数1,247件)によると、海洋散骨の認知度は93%に上る。自身の遺骨を海洋散骨してもらいたいと希望する人は全体の11%だが、その割合はとくに独身女性において高く、4人に1人が海洋散骨を希望する意向を示した。

    「宇宙葬」は、少量の遺灰を収めたカプセルをロケットに搭載して宇宙空間へ打ち上げるサービスだ。たとえば銀河ステージでは、税込み48.6万円からこのサービスを提供している。同社がサービスを開始した2014年以来、2回の打ち上げで5人が利用。2017年には宇宙飛行プラン・人工衛星プランにおいて計13件の実施が決定しており、ほかに生前予約者が36名いるという。

    生前のライフスタイルに合わせて埋葬や供養の方法が選べる時代になったことに対しては、前述の「自身の葬儀・お墓問題に関しての意識調査」でも71.6%が好意的な姿勢を見せており、上記のようなサービスへの注目が集まっていることがわかる。

    墓というと、先祖から受け継ぎ、子々孫々引き継いでいくものというイメージを抱いている人が多いと思いますが、最近の墓は、継ぐ人がいなくてもOKというタイプが注目されています。墓石の代わりに木や花を墓標として納骨する樹木葬墓地、海への散骨などは「残された人に迷惑をかけたくない」というニーズを捉えています。最近では遺骨の一部を宇宙に打ち上げる宇宙葬も話題に。葬送方法は多様化していますが、残された人が故人をどのように偲びたいか、故人からいただいた縁をどう次世代へ繋いでいくかという視点は大切にしたいものです。

~未来予測~

ごちゃまぜコミュニティへの移住

ごちゃまぜコミュニティへの移住

シェア金沢

元気なうちから住み始め、介護が必要になっても継続的なケアを提供する高齢者施設CCRC(Continuing Care Retirement Community)。発祥は1970年代の米国だが、少子高齢化が急ピッチで進展する日本でも導入が始まっている。シニア向け分譲マンション「スマートコミュニティ稲毛」をはじめとする企業の取り組みの他、2014年に社会福祉法人がオープンさせた「シェア金沢」の例もある。その1万1,000坪の敷地には高齢者向けの住宅だけでなく、学生向け住宅、障害児の入所施設などもあり、様々な年代・ライフスタイルの人々が共住している。米国版CCRCが塀に囲われたコミュニティであるのに対し、日本版はこのように地域に開かれたコミュニティで、高齢者が社会の担い手の一員となることを目指すのが特徴だ。

一方、自治体の多くは、まだ様子見なのが現状だ。昨年の春、政府のまち・ひと・しごと創生本部が、全都道府県・市区町村1,788団体に調査を実施し、日本版CCRC関連の取り組みを推進する意向を尋ねると、「今後考える」という回答が最も多く77.6%(1387自治体)に上った。「ある」と回答したのは11.3%(202自治体)。政府はCCRCを地方創生につなげたい考えで、構想の実現に取り組む自治体を後押しするため、今年3月には支援チームを発足させた。

また、地方から来た大学生が都会の単身シニア宅に同居して互いに支え合う「世代間交流ホームシェア」(NPO法人リブ&リブ)や、単身高齢者とシングルマザー世帯が助け合いながら一つ屋根の下で生活する「IGHシェアハウス」(株式会社ナウい)などの事業例もある。こうした共生を希望する人が増え、受け入れ体制も整いつつあるなかで、老後の暮らし方の選択肢は多様化していくだろう。

谷崎 憲一

谷崎 憲一

土地活用 ガイド

このようなスタイルが定着するかは、魅力的な街づくり次第と言えます。キーワードは、高齢者の知恵、地域の文化、そして自然。都会での生活は便利かつ刺激的で、多くの情報も集まりますが、美しい自然と文化に囲まれた生活に憧れる人もたくさんいます。そこに、物語性のある住まい方ができれば、高齢者のチカラで若者を呼ぶというスタイルも可能です。素晴らしい街づくりに対する情熱さえあれば、日本版CCRCの未来は明るいものになるでしょう。

審査員ガイド

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