チャイルドシート

掲載日: 2004年 03月 28日

チャイルドシートアセスメントのテスト現場を見て 評価試験の内容をレポートします

文章:森山 みずほ(All About「女性と子供のカーライフ」旧ガイド)




先日、チャイルドシートアセスメント(アセスメントについてはhttp://allabout.co.jp/auto/womancarlife/closeup/CU20040130/index.htmで)の実際のテストの様子を見てきたので、その時の様子、とくにここでは今年から新たに加わった腹部面圧試験に重点をおいて、詳細をお伝えしようと思います。

アセスメントの中の動的試験(前面衝突試験)は、当たり前ですがものすごいイコール条件の中で、評価が行われています。
 そのため例えばチャイルドシートを固定する車両側の座席及びシートベルトは、1台のチャイルドシートをテストする毎に、すべて新品に変えられます。今回見に行った際にも、使い終わったエスティマ(アエラス)のシートが何個も置いてあって、正直「なんだか、もったいないよね」なんてケチな考えを持ってしまったほど。しかし担当者の方曰く「時速55kmで衝突した際の、クルマの各部に与えるダメージというのは大きい物です。シートやシートベルトにしても、一見すると新品となんら変わらないようでも、繊維の部分が伸びているなど、性能は確実に劣化します。だから毎回交換しているんですよ」とのこと。ちなみに、これらのシートはすべて廃棄処分されるそうです。
 このほかにも、チャイルドシートとダミーを搭載するための作業が開始される直前まで、20〜23度の温度に保持された室内に、チャイルドシートを4時間以上放置し、温度を安定させるといった作業など、実に細かい部分にまで配慮が施されていました。
 ちなみに、このテストで使われるチャィルドシートは、すべて普通の量販店で、普通に購入してきたもので行われています。

 さて今年から加わった腹部面圧の測定。この計測がなぜ始まったかというと、過去のアセスメントのテスト結果(チャイルドシートアセスメント情報)を見てもらうとわかるのですが、動的試験結果の「その他の事象」項目欄に※印がある場合、欄外に『骨盤拘束が弱く、腹部を圧迫しているが、それがパッド・ハーネスによってである』と書かれた製品がけっこうあるのがわかるはず。そう、今までは計測出来なかったのですが、テスト後のダミーを見ているとどうも、子供の身体を拘束するためのベルト(ハーネス)のバックル周りが、子供の身体に強い衝撃を与えている可能性がありました。
 そこで今年から、3才児ダミーの腹部に、面圧計(面圧計とは薄いフィルムを貼り合わせた構造で、上下方向、左右方向ともに1cm間隔で圧力を電気的に計測でするセンサーのことを言います)を貼付し、計測することとなったのです。
 この面圧計の測定面積は上下方向に12cm、左右方向に25cmの長方形で、下段部を脚部の付け根に合わすように貼付されるので、ちょうど子供のおへそを中心としたお腹周りのデータを計測できるようになっています。

 その傷害値の評価方法についてですが、実は腹部圧迫としては広範囲に過重がかかるパターンと、局所的に過重がかかるパターンの2種類が考えられます。でも、残念なことに後者の局所的な圧迫に対する人体特性や人体耐性についての調査報告例は、今現在無く、そのため、唯一データのある広範囲における過重のかかり方について今回は評価されることになりました。(それも実際は成人データのものなので、それを3才児の耐性値に置き換えているのですが)

 局所的な圧迫についてのデータの取り方、そしてより実際の子供の身体に合った傷害値の取り方を今後どうするか? など課題はたくさんありますが、世界的に見ても、いち早くこういったデータの収集に乗り出したこの日本のアセスメントというのは、かなり評価できる部分だと思います。

 具体的な評価数値は、腹部への合計過重値(N)が1.38kNを超えたものを「×」と評価することに。と言われても、この数値、ピンとこない人が多いとお思います。実際、この数値の出し方は成人男性のデータを3才児にスケーリングしているということで、とても複雑な計算式になっているので、ここで詳細をお伝えするのはやめておきますが、参考までにバスケットボールを5.9mの高さから落下させると、床面における衝撃荷重は1.02kNになるということなので・・・いかに強烈なものなのかは、なんなくでも想像できますよね。

 さて最後になりましたが、使用性評価のテストについても今年から女性のテスターが加わり(女性の力でも取り付けが容易か? を見るため)より現実的な評価がされるようになっています。

 より実際の使われ方に近づくように、少しずつではあるものの確実に進歩してきているチャイルドシート・アセスメント。今回テストの様子を見て、そんな進化を強く感じました。
 新たな評価結果は春頃発表ということなので、まもなく結果をお伝え出来るのではないかと思います。
(過去に行われた製品の試験結果、また試験の詳細などはチャイルドシートアセスメント情報で確認できます)

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