では、ウイスキーの絵になる飲み方というのは、あるのだろうか?
「正直に申し上げますと、おいしく飲んでいただくのが一番かと。ストレートでもロックでも、自分が美味しいと思える飲み方で愉しむのが格好いいと思います」。つまりは、下手に背伸びをせずに、自分に正直に飲むということだろう。
「これまで出会ったお客様を例に挙げますと、まず最初にスニフターグラスを両手で包み込むようにあたためて香りを利く。そしてグラスに小さな氷を入れて移り行く味の変化を愉しむという人もいらっしゃいますね」。ウイスキーというものは極めて繊細なもの。加水することによる味の変化、時間の経過による香りの広がりなど、愉しみ方を知れば味わい方の幅もさらに広くなる。「そして大事なのは、ただいたずらに長時間飲み続けるのではなく『酒を飲む』という意思を持って飲むこと。惰性で飲むのではなく、そういう姿勢を保てなくなりそうだったら、ほど良い頃合を見計らって帰るのも大人の飲み方」。 |
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旨い酒は、飲むシチュエーションでさまざまに変わる。たとえば、飲む相手が違うだけで、酒の味もまるで変わってくる。ひとりで飲むなら、上質な酒を味わうという意志を持ち、男として引き際までも美しく帰りたいものだ。続いて岸氏におつまみについて聞いてみた。
「一般的にバーでのおつまみというと、生ハムやチーズが多いですが、日本のウイスキーには海ブドウの潮の風味や、秋田のいぶりがっこの燻製の香りなども相性がいいですよ。やはり日本で作られているお酒だけに、和風の食材とはマッチしますね」。意外に思うかもしれないが、これが試してみるとかなりの美味である。繊細な味わい同士の組み合わせは、さまざまな酒の味覚を積み重ねてきた者にしかわからない特権かもしれない。
カウンターでジャパニーズ・ウイスキーを手のひらに包み、ゆったりと愉しむ。その姿は大人の男にしか似合わない端正な飲み方となるだろう。 |